オフィスの移転を考えたときに、まず、必要な費用が知りたいと考える場合も多いでしょう。本記事では、一般的にどのようなものに費用がかかるのかを解説しながら、それぞれの費用の相場と節約できるポイントを合わせてご紹介します。見落としがちな費用や意外に知られていない節約方法についてもご覧ください。
オフィス移転の費用相場の目安とは?
オフィス移転費用は社員の人数、オフィスの大きさや原状回復までの状態、ネットワーク環境など、多くの要素によって決まります。
そのため、一概に費用を算出することは難しいのですが、おおよその目安として利用可能な各費用相場を概算表にしました。
【退去時の費用相場・概算(8~10坪)】
原状回復工事
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40~50万円
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不用品廃棄物処理
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7万円(2トン車1台分)
※4トン車1台は10万〜15万円
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【新オフィス入居の費用相場・概算(18~20坪)】
引越し費用
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30~35万円
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内装・設備工事費
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100~150万円
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新オフィス賃貸料
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30~40万円
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敷金
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90~120万円(3ヵ月分)
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礼金
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30~40万円(1ヵ月分)
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仲介手数料
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30~40万円
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火災保険
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3~4万円
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保険会社加入料
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30~40万円
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家具・什器・備品
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40~60万円
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登録免許税
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3~6万円
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その他
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回線工事やリース料金など
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上記の項目以外に、企業ごとに必要となる設備もでてきます。
それぞれの項目ごとの詳しい内容や節約ポイントについては、各章で解説します。
新オフィス決定後にかかってくる費用
新オフィス移転に必要な費用はオフィスの広さや社員の人数によって変わります。
新オフィスに必要な広さの目安は、社員1人(1席)につき2〜3坪ほどです。
新オフィスでの働き方も含めたオフィスの立地・広さ・デザイン・レイアウトなどにより、必要な広さと賃貸料は変わってきます。
新オフィス維持にかかる費用
新オフィスが決定すると、家賃の支払いが発生します。
現オフィスの原状回復工事が終わらない限り、現オフィスの解約ができないことから、2つの家賃の支払いをしなければなりません。
そこで、新オフィス契約時に支払うものについて解説します。
敷金・礼金・仲介手数料の相場は?
敷金については、家賃の3・6・12ヵ月のいずれかを支払うことになりますが、退去する際に家賃の延滞がなければ、全額返還されます。
礼金については、家賃の1ヵ月〜2ヵ月分が通常です。
礼金はオーナー収益のため、返還はありません。
仲介手数料は、契約締結時に不動産会社に支払う報酬です。
仲介手数料の上限については「家賃1ヵ月+消費税」と定められています。
そのため、家賃の0.5ヵ月〜1ヵ月が仲介手数料の相場です。
仲介手数料が無料の不動産会社もあります。
保証会社費用とは
保証会社費用は、ビルのオーナーの意向である場合も多く、家賃の何ヵ月分や家賃総額の何%など、保証会社によって変わってきます。
借主が保証会社を選べることはほぼないため、賃貸借契約の締結前に保証会社と費用についての確認が必要です。
保証会社の中には原状回復工事費用を保証してくれる場合もあるため、内容もしっかり確認しておきましょう。
火災保険料
火災保険加入は義務ではありませんが、同じビル内の火災に巻き込まれる可能性もあります。
火元については、重大な過失と認められなければ、損害賠償請求はできません。
そのため、加入の義務がないといえども、ほぼ義務化されているといってよいでしょう。
新オフィスの内装と設備工事にかかる費用
新オフィスの内装と設備工事については、デザイン・設計と内装・設備工事を別々の業者に頼む場合もあります。
反対に、デザインから工事まで、すべてひとつの業者にやってもらう場合もあります。
新オフィスについて、デザインのクオリティを追求したい場合には、デザインの専門性に特化した業者と内装・設備の施工業者と2つの業者にお願いする形となるでしょう。
どちらにしても、複数の業者から見積もりをとり、相場と各業者の強みを知ったうえで選ぶことができます。
そのため、無駄な出費を抑えられることから節約のポイントにもなります。
必要な什器の購入やレンタル契約
新オフィスで必要な什器の購入については、すべてを新調するのではなく、中古の購入や備品の再利用によって、費用を抑えることが可能です。
また、デザイン性の高い家具にしたい場合、すべてを新調するには費用面が難しくなってしまいます。
そのような場合は家具をレンタル契約することで、毎月の支払いは発生しますが、初期投資は抑えられるでしょう。
また、リースは経費として計上できるため、節税にもなります。
オフィス移転によるネットワーク環境整備に必要なこととは
オフィスの移転にあたり、インターネット回線の移設やネットワーク環境の見直しは必要です。
現在使用している回線の種類・プラン・回線の本数などを再度検証してみましょう。
サーバーがレンタルであれば、レンタル業者への連絡と手続きが必要です。
サーバーのレンタル先を変更する場合は、移転前までに設定を完了させておくことで、移転先で業務をスムーズに遂行できます。
インターネットの回線の変更をしなければ、業者のサービスエリア内においては手続き不要ですが、移転先がエリア外の可能性もあるため、確認は必要です。
回線を変える場合は、解約後の新規の手続きをしなければなりません。
回線工事も必要となれば、移転の1ヵ月ほど前には終わらせておく必要があります。
移転ギリギリになってしまうと、新オフィスの働き始めに間に合わない場合があります。
また、回線事業者とプロバイダは別のため、手続きはそれぞれ必要であることに注意しましょう。
回線を変更することで、グローバルIPアドレスも変更となってしまう場合があります。
ルーターやパソコンは再度の設定が必要となるため、社内でITに詳しい者がいない場合は、専門業者に依頼することになるでしょう。
また、新オフィスのレイアウトによって、LAN配線の設計やWi-Fi設置ポイントを決める必要があります。
インターネット回線については、移転後スムーズに業務を行えるように、早めの検討をおすすめします。
引越しにかかる費用の節約ポイントも合わせて紹介
オフィス移転時の引越し費用については、さまざまな要素によって大きく値段は変わってきますが、少なくとも社員1人につき、3万円ほどは見ておきましょう。
引越の需要が最も高まる時期である3月〜4月は引越し費用も上昇します。
引越しの需要が少ない5月〜12月の時期であれば、繁忙期より30%ほど安くなることも珍しくありません。
平日であれば、引越し業者によっては半額になることもあります。
そのため、引越し時期により、かかる費用が大きく変わるため、新オフィスに移転する時期は大きな節約ポイントです。
また、引越し業者によってサービスも値段も変わってくるでしょう。
さらに、法人向けのプランがあり、オフィスの移転経験が豊富な業者や法人に特化した引越し業者もあります。
業者によって、オフィスのデザイン提案や家具の手配、内装・設備工事の施工、原状回復まで請け負ってもらえる場合があります。
他にもトランクルームで什器・書類等を保管してもらえるサービスなどもありますが、オプションであることが多いため、予算オーバーとならないように注意しましょう。
また、オプションについては各専門業者のほうが安く済む場合もありますが、時間は節約できるため、自社の予算とスケジュール等に合わせて選ぶことが大切です。
法人向けの引越し業者も多数あるため、複数の引越し業者から見積もりをとり、相場とサービスを比較して選ぶことをおすすめします。
不用品廃棄費用
オフィス移転の際にでた不用品は、産業廃棄物となることから費用がかかります。
処分するときに利用するトラックの費用は、2トン車であれば1台7〜8万円ほどですが、4トン車1台では10万〜15万円ほどです。
そこで、不用品廃棄費用の節約のポイントは次の3つとなります。
- リサイクル業者に買い取ってもらう
- 自治体や家電量販店では無料で引き取ってくれる「小型家電」があるため利用する
- 木製家具は解体して事業系一般廃棄物としてゴミ回収にだす (※金属やプラスチック製は産業廃棄物)
家電量販店ではリサイクルを目的とした「小型電化製品の引き取りサービス」があります。
特定品目に該当する小型家電は無料で引き取ってもらえますが、家電量販店ごとに回収方法・品目などは違うため、確認が必要です。
家電量販店によっては、宅配で引き取ってもらうことも可能です。
1箱1,950円など有料ではありますが、宅配では1箱のサイズが3辺合計160cm・30kg以内の段ボールにつめられるだけつめられます。
後は、希望日時に回収しにきてくれるのを待つだけです。
対象外や取扱いがない品目もあるため、事前に確認しておきましょう。
また、公共施設では「小型家電回収ボックス」が設置されていることも多く、品目に制限はありますが、無料で小型家電を引き取ってもらえます。
詳しい情報は、各自治体のHPで確認しましょう。
原状回復費用
新オフィスに移動した後は、現オフィスの原状回復工事をする必要があります。
原状回復費用は、一般的に坪単価3万円ほどが目安となりますが、立地やビルの大きさ、オフィスの状態などによって大きく左右されます。
現オフィスがビルの中にある場合、原状回復工事の業者をビル側が指定する場合も少なくありません。
指定業者とはいえ、特に必要のない部分の工事をされたり、高めに請求されたりする可能性はあります。
他の業者と見比べられない場合、指定業者の工事内容があいまいではなくしっかりと書かれているかどうか、内容や金額が適切かどうかの確認は必要です。
契約書に記載されている原状回復工事で取り決められている部分を、しっかりと見直しましょう。
オフィス移転どきに見落としがちな費用とは
オフィス移転には、さまざまな費用がかかります。
予想以上に費用がかかってしまう理由は、移転に必要な項目を見落としてしまうからです。
そこで、見落としがちな費用について解説します。
今のオフィス賃貸料の支払いが数ヵ月続く理由とは
現オフィスは、原状回復工事が終わるまで解約ができません。
そのため、数ヵ月間は新旧2つの家賃の支払いが発生してしまいます。
スケジュールを押してしまえば、押してしまった分だけ2つの支払いが続くため、余裕を持ったスケジュールで予算をたてましょう。
オフィス移転どきに提出する書類にかかる費用
移転後は、現オフィスの管轄である、税務署・法務局・社会保険事務所と移転先の管轄である、労働基準監督署・公共職業安定所・管轄警察署に書類提出が必要となります。
法人が住所変更を行う場合に費用がともなう手続きは、法務局で「本店(支店)移転登記申請書」を提出する場合です。必要な費用は以下となります。
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法務局(登録免許税)
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管轄内
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30,000円
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管轄外
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60,000円
(移転元と移転先2つの登録が必要)
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法務局への移転登記は、法律で義務化されており、移転した日より2週間以内に手続きすることも定められています。
もしも、手続きされない状態が続いてしまえば「登記懈怠(とうきけたい)」となり、会社代表は100万円以下の罰金の支払いを命じられる可能性があるでしょう。
また、法務局以外にも、提出するべき書類が数多くあります。
移転後、手続き先によって5日以内や10日以内など、提出期限が設けられている場合も多く、移転先が管轄内か管轄外なのかによっても必要書類は変わります。
司法書士にお願いする場合、費用の目安は4万〜5万です。
移転先が現在管轄の法務局であるか管轄外であるか、また司法書士によって値段は変わります。
費用削減のためにできるだけ自社で手続きを進めたい場合は、ツールを活用するのもひとつの方法でしょう。
情報の一部を入力するだけで、必要な書類を自動で作成可能です。
銀行・郵便局やNTTなどの変更もあり、書類作成と提出だけで多くの時間がとられてしまいます。
専門家にお願いすると、費用は多少かかりますが大幅な時間の節約になるでしょう。
知らずに損するオフィス移転費用を抑える方法
オフィスの移転費用において、節約が難しいと思われやすい部分で節約できる可能性はあります。
また、わざわざ節約しても、確認ミスで本来なら支払う必要がなかったものを支払うことになってしまうのは、本末転倒です。
それぞれ詳しく解説します。
2つの賃貸料をせめてひとつにしたい!
現オフィスの原状回復工事が終わるまで、新旧2つの家賃を支払い続ける負担は大きいでしょう。
そのため、入居後の一定期間、家賃が無料となる「フリーレント」を提示して売り出している物件もありますが、例え提示されていなくても交渉することは可能です。
フリーレントの期間が3ヵ月の場合、3ヵ月分の新オフィス家賃を支払わない状態でもオフィス内に入れるため、移転準備を進められます。
できるだけひとつの業者に工事を依頼する
専門の業者を複数入れてしまうと、それぞれの業者との話し合いやスケジュール調整に時間がとられてしまいます。
例えば、法人の引越し経験が豊富な業者や法人に特化した引越し業者では、不用品の引き取りや買い取り以外にも次のようなオプションがあります。
- レイアウト作成やオフィスデザインの設計
- 内装・設備工事
- 家具の手配・組み立て
- 原状回復
業者ごとに取り扱っている内容も費用も変わってきます。
また、専門業者にしてもらうほうが費用を抑えられる場合があるでしょう。
それほど値段が変わらない場合は、ひとつの業者に絞ったほうが効率よいため、労力と時間の節約になります。
内装業者は、大きく分けると次の3タイプです。
工務店は地域に精通し、リフォームやデザイン設計、施工まで広範囲の工事を請け負ってもらえます。
工務店の中でも住宅の経験が豊富なところもあれば、オフィスの経験が豊富なところもあるため、施工例などを確認しましょう。
デザイン会社はデザインと設計に特化した会社のため、高度なデザインや設計にこだわりたい場合はおすすめです。
内装工事までする会社もありますが、別に工事の業者が必要となる場合も多いため、確認しましょう。
内装業者は、デザイン・設計・施工をワンストップで発注できるメリットがあります。
工事の調整や価格交渉もしやすく、工事費の節約にもつながるでしょう。
オフィスビルの経験が豊富、商業施設が得意などの特徴があり、デザインと機能性を兼方ね備えた設計をしてもらえるなど、高クオリティな仕上がりが期待できます。
リース契約の連絡忘れで違約金発生の可能性!
コピー機や複合機などのOA機器のリースだけではなく、家具や什器などをレンタルしている場合があります。
リース品を無断で移動させてはいけません。
もしも、リースと気づかず移転先に移動させてしまい、連絡をしない状態が続いてしまうと、違約金が発生する可能性もあります。
新オフィスに移動する前に、リース品の選別をし、解約する場合も新オフィスに移動させる場合も、リース会社への連絡を忘れないようにしましょう。
オフィス移転はポイントと費用を抑えればスムーズにできる!
オフィスの移転では、各業者の選び方と節約ポイントを抑えることで、予算よりもお値打ちに移転させることも可能です。
業者選びでは、複数の業者から見積もりをとることで相場を知ることができるでしょう。
また、同業者でも得意不得意があるため、オフィス移転の経験が豊富にあるかどうかによっても大きく変わってきます。
費用を節約することも大切ですが、新オフィスでの働き方に合わせて効率よく進めていくために、専門家に依頼したり、余裕を持ったスケジュールにしたりすることが大切です。
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