居抜き物件は初期コストが抑えられるなどのメリットがありますが、注意すべき点もあります。内見時や契約時に確認しておかなかったことで思わぬトラブルに見舞われる可能性はでてくるでしょう。そこで、本記事ではよくあるトラブルと回避に必要な基礎知識と確認ポイントについて解説します。
居抜き物件のトラブルを回避するために必要な基礎知識とは
居抜き物件の定義からメリットとデメリットまで、居抜き物件の基礎知識を下記3つから解説します。
- 居抜き物件とはどのような物件?
- 居抜き物件を利用するメリットとは
- 居抜き物件のデメリットとは
居抜き物件とはどのような物件?
居抜き物件とは、以前のテナントが使用していた内装や設備をそのまま引き継ぎ、事業がすぐに始められる状態の物件です。
リフォームをかけてよいかどうかは、居抜き物件の貸主がどのようなスタンスを持っているかで条件が大きく変わってきます。
例えば、居抜きといえども多少のリフォームを必要とする場合がありますが、貸主によっては、リフォームを断られる可能性があります。そのため、リフォームが可能かどうか、またどこまでのリフォームが可能かについての確認が必要です。
居抜き物件を利用するメリットとは
居抜き物件を利用する大きなメリットは、スピードと費用の安さです。
他にも以下のような複数のメリットがあるため、ひとつずつ解説します。
- 初期費用が抑えられる
- 開業費用の回収が早期に可能
- 開業まで短期間でできる
- 近隣の認知度が高い
居抜き物件のうち内装がそのまま引き渡される場合の費用は、改装費用のみとなります。
内装部分を造作譲渡として購入する場合は、改装費用に加えて譲渡費用も必要です。業種が同じであれば、細かな備品の譲渡も可能となるため、手間と費用を抑えられます。
初期費用が抑えられる分、開業費用の回収が早期に終わらせられる可能性があります。資金の借入をしている場合、月々の返済が必要となるため、回収期間が長引くほど経営が安定しにくくなるでしょう。経営していく中で、新しい人材や機材の導入など新たに資金が必要となる可能性がでてくるため、初期投資分は一日でも早い回収が大切です。
居抜き物件であれば既存の内装や設備を活かせるため、開業までの工事期間が短くなり、賃貸料も抑えられるでしょう。
また、飲食店を開業するにあたり、前借主も飲食店を経営していたのであれば、近隣もその場所に飲食店があったことを認知している場合が多いといえます。そのため、来店するハードルが下がり、前借主が経営していたお店の顧客をも取り込める可能性があるでしょう。
居抜き物件のデメリットとは
居抜き物件をうまく見つけられれば、多くのメリットがあります。しかし、デメリットがないわけではありません。知らずにいるより知っておくことで回避できる場合があるため、以下のような主なデメリットをひとつずつ解説します。
- 受け継いだ設備不具合の可能性
- 受け継いだ設備にリースがある可能性
- 前のお店のイメージまで引き継ぐ
- 前のお店の撤退理由が足かせになる可能性
- レイアウトの自由度が少ない
受け継いだ設備や内装に問題が隠れている場合があります。内覧の際の確認で稼働したとしても、すぐに故障してしまう可能性もあります。反対に思いのほか長く使用できる場合もあるでしょう。
また、前の借主がリースしていることを忘れてしまったまま引き渡してしまう場合があります。そのような場合に一番望ましい対処法は、前の借主に残代金を一括で清算してもらい、リース品を撤去してもらうことです。
前のお店のイメージが良いまま撤退したのであれば、その場所を引き継ぐ新しいお店にもプラスになります。しかし、反対に悪いイメージのまま撤退した後に同じ業種のお店をだすことになると、マイナスのイメージからのスタートになってしまいます。イメージを変える戦略も必要になるでしょう。
内装や設備を受け継ぐため、骨組みだけのスケルトン状態と同じようにこだわった内装やレイアウトにすることはできません。改めて内装にこだわろうとした場合、予想以上の費用がかかってしまう可能性があります。
イメージに近い内装や設備のある居抜き物件を見つけられることが一番ですが、居抜き物件は少なく、良い物件がでたらすぐ売れてしまうでしょう。
居抜き物件で起こりやすい三大トラブルと確認ポイントを解説!
居抜き物件で起こりやすいトラブルは下記3つです。
- 設備・内装・廃棄物に関するトラブル
- 契約時の確認不足によるよくあるトラブル
- 退去時のトラブル
それぞれトラブルの一部とトラブルをさけるための確認ポイントを解説します。
設備・内装・廃棄物に関するトラブル
設備・内装・廃棄物に関するトラブルでは、以下のようなトラブルがあります。
- 引継ぎのなかった不要な設備を処分することなくそのままにされた
- 故障した設備やリース品を譲渡された
- 設備のメンテナンスが不十分だった
譲渡品ではない不要な設備(残置物)をそのままにされることがあります。引渡し後は原則として現借主が対応しなければなりません。ただし、法的には、残置物の所有権は前借人です。前借主の許可なく処分することができません。残置物の処分ができず開業に影響が出てしまう可能性もあります。引き渡し前にも譲渡品のリストをもとにしっかり確認をしておきましょう。
引き継いだ設備が故障していたり、リース品を譲渡されていたりする場合があります。リース品は前の借主に残代金を一括で清算してもらい、撤去してもらうことが一番ですが、リース会社と前借主を含めた話し合いで受け継ぐことも可能です。また、原則として故障した設備は現借主の費用負担で修理します。そのため契約前に設備の動作確認は必須です。
飲食店の居抜き物件においては、排水設備が詰まるトラブルがよく起こります。残飯や油などが排水されてしまうこともあり、前借主が処理装置をつけるなど十分な対策を行っていなかった場合は、詰まりやすい状態になっています。薬品を流すような事業者が入っていた場合も詰まりやすいでしょう。契約前に排水の状態を確認し、必要であれば専門業者による高圧洗浄をします。高圧洗浄の費用は前借主に負担してもらえるように交渉しましょう。
内見の際に設備・内装で確認するポイントとは
内覧の際に設備・内装・廃棄物関連で確認するポイントは次の5つです。
- 切れている照明がないか
- 空調設備は稼働確認と同時ににおいの確認
- 設備の稼働確認
- リース契約の設備について
- 残置物件ではないか
- 前借主の退去理由は何か
忘れがちなのが、照明の確認です。引渡し後にすでに切れていたとしても、現借主の負担となるため、確認して切れそうな照明も交換してもらえるか確認しましょう。
空調設備においては、メンテナンスがされていなかった場合、カビの繁殖などが原因で悪臭がします。エアコン清掃代も思いのほか高くつくため、引渡し前に清掃してもらえる用に交渉してみましょう。
設備の故障がないか、老朽化による支障がないかなど設備の稼働確認は必要です。引き受けた後の不具合については原則として現借主の負担となるため、内見時にしっかりと確認することをおすすめします。
リース契約があるかないかの確認は必要です。前借主の記憶が曖昧な場合もあるため、万が一リース契約しているものが契約後にでた場合の対応についても、確認しておきましょう。残代金を一括してリース品を撤去してもらえるかの確認も必要です。
飲食店であれば要となる厨房機器がなくなっている状態であれば、居抜き物件ではなく残置物件です。しかし、不動産会社によっては、残置物件を居抜き物件として表示している場合があるため、注意しましょう。
前借主の間で起きた問題が、隣接している施設や近隣とのトラブルなど周辺環境によるものであれば、同じような問題を抱える可能性が高いため、確認は大切です。
契約時の確認不足によるよくあるトラブル
居抜き物件で借りたとしても、閉店の際は現借主に原状回復義務があります。
たとえ前借主によって改装されていた箇所であったとしても、契約書の原状回復の内容によっては、現借主が元に戻す必要があります。前借主が内装にこだわっていた場合は、解体費用が高くなる可能性もでてくるでしょう。
物件の内容だけではなく隣接店舗や周辺の環境の確認も忘れずにしましょう。近隣とトラブルになるケースがあります。トラブルの内容は、音やニオイ、店が変わることの知らせがなかったなどです。前借主の退去理由を不動産会社に聞いたり、直接周辺の様子を確認して推測することは大切です。
契約時の確認ポイントとは
契約時の確認ポイントは主に次の3つです。
- 原状回復の条件や範囲が明確になっているか
- 口約束ではなく書面にしてあるか(造作譲渡契約書)
- 契約不適合責任についての内容確認
契約時に退去時の原状回復についてしっかり確認する必要があります。原状回復によるトラブルは多くあります。トラブル回避のためにも、貸主・前借主・現借主の間で原状回復の範囲や条件を確認し、認識違いが起こらないように注意しましょう。
そのためには、口頭だけの口約束ではなく書面にする(造作譲渡契約書)ことによって、トラブルを回避しやすくなります。契約内容はトラブルのもとになる認識違いが起こらないように、明確にしておくことが大切です。造作譲渡契約書を作成することにより、引き継ぐ設備と費用を明確にできます。賃貸借契約書とは別の契約書となるため注意しましょう。
また、譲渡された造作物が契約書の内容と相違が見つかった場合、一定期間責任を追及できる「契約不適合責任」があります。契約不適合責任は、売り手と買い手の合意があれば免除特約の設定が可能です。すでに契約書の免除特約に記載されている可能性もあるため、しっかり確認しましょう。
退去時のトラブル
退去時によくあるトラブルは、原状回復の範囲についてのトラブルです。居抜きで借りても退去時は原状回復義務があります。借主の原状回復義務については契約書に記載された範囲となりますが、原則スケルトン状態の原状回復です。ただし、契約書にスケルトンとの記載があっても、双方の合意によって契約内容が変わる場合もあります。そのような場合、口約束だけにせず、書面にすることでトラブル回避につながります。
原状回復の認識違いでトラブルに発展!口約束で終わらせない
居抜き物件の引き取り直後の写真は撮っておきましょう。万が一トラブルになった場合、引き取り時の状態が争点になるため、できるだけ写真によって記録しておくことが大切です。
リフォームの許可を得ているのであれば、契約時に原状回復についての範囲や条件はしっかり確認しておきましょう。
原状回復については、解釈の違いがトラブルに発展することは少なくありません。そのため、口約束はせず、具体的に書面に記載しましょう。加えて、退去が決まり原状回復工事の見積もりをする際には、貸主に立ちあってもらえば原状回復の認識違いによるトラブルを防げます。
居抜き物件の不動産選びのポイント
良い物件に出会うためには、不動産屋選びが重要です。
不動産会社を大きく分けると、地域密着で住宅と事業用の2つを扱うところと事業用の物件を専用に扱う不動産会社があります。
地域密着であれば、付き合いのあるオーナーから一足早く店舗の空き情報を教えてもらえることも珍しくありません。何度か足を運び信頼関係を構築することで、耳寄りな情報を手に入れられる可能性があります。
事業用物件を専門に扱っている場合は、広範囲で物件をさがせます。また、事業計画やコンセプトなど専門的な視点から合いそうな物件を紹介してくれるでしょう。融資や工事業者についても相談にのってもらえることも少なくありません。担当者との相性もあります。
複数の不動産屋でそれぞれの担当者と物件を見に行くことで、情報力や相性などの確認が可能です。人気の居抜き物件はすぐに決まってしまいます。積極的に掘り出し物物件を見つけてスピーディーに対応できる不動産屋を見つけることが、物件選び最大のポイントといっても良いでしょう。
居抜き物件のトラブル回避には基礎知識と確認の仕方が大切
居抜き物件は初期費用が抑えられ、短期間で開業できるため人気があります。
しかし、トラブルに発展してしまうことも少なくありません。設備が壊れていたり、リース品が紛れていたりすることもあれば、近隣とのトラブルになる場合もあります。また、退去時の原状回復によるトラブルも多く、裁判にまで発展してしまうことも少なくありません。そのため、事前にトラブルを回避できるように、内見時や契約時、退去時にポイントをしっかり押さえて確認することでトラブルを回避しましょう。
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